同僚たちに退職を伝えてみると

そうなると、NHKの同僚たちにも正式に伝えなくてはなりません。仙台局のアナウンサー全員参加の緊急班会を開いてもらい、

「この度、退職することになりました」

と宣言しました。

すると、まるでリハーサルをしたように、一斉に「え~っ!!」と悲鳴のような声が上がりました。

後輩の女性アナウンサーは、目を丸くして大きな口を開け、ただただ驚いています。僕は真剣に退職の報告をしながらも、「人間っていうのは心底ビックリすると、本当にこんなドラマみたいな反応をするんだな」って、妙に可笑しくなって笑いそうになりましたが、空気を読んで我慢しました。

後日、入局以来、苦楽を共にしてきた同期たちにも伝えました。突然の仲間の離脱に少なからずショックを受けた様子でしたが、最後は福祉の道に進む決断をした僕に、「内多らしいな。頑張れよ」と、エールを送ってくれました。喋り方や振る舞いは荒っぽいけど、あったかい奴らです。

ちなみに、の話を一つ。

僕は、実際に退職にいたる以前から、仕事で気に食わないこととか、面白くないことがあると不満が高じて「辞めてやる」って、妻に向かって年がら年中、言っていました。

勤め人ならよくあることでしょうが、もう日常的になんだかんだとNHKの文句ばかりを続けていましたから、妻もある程度、覚悟というか心構えが自然とできて、今回はいよいよ本当に辞めるのかと受け入れやすくなったのかもしれません。

文句とはいえ、ある程度、日ごろから匂わせておくと思わぬ効能が発揮されることもあるということです。