転職につながる重大な情報が入ってきたのは、心境を周囲に話していたことも大きかったそうです(写真提供:photoAC)

前から「匂わす」ことで情報が回ってきた

実は、もみじの家の情報が僕にいち早く入ってきたのも、「匂わす」ことが関係していました。

僕はアナウンサーとして担当した番組は、生放送のデイリーニュースが多かったので、その日のストレスはその日のうちに解消することを基本としていました。次の日まで持ち越すと、新たなストレスがそこに追加され、終いには爆発してしまいます。実際、たまに爆発していました。

元々、気の合う仲間と飲みに行くのが好きで、納得いかないことがあったら、酔いにまかせて、いかに自分が頭にきているかを喋ることが大好きな男です。喋ることで発散していたんでしょう。もちろん他人の話も聞きますが、だいたい僕が喋ってましたから、ちょっと迷惑なタイプです。

本当に腹に据えかねることがあったら、朝まで飲んだり、歌ったり、ボウリングをしたりした後、家に帰ってひと風呂浴びてスッキリしてから、すぐに出勤、ということもたまにありました。

そして、僕はアルコールが入ると、気心の知れた外部の人にも、ウケ狙いで不平不満をこぼしていました。それを聞かされた人は、こう思ったに違いありません。

「内多さんっていう人は、まるっきりNHK愛に溢れているわけではないんだな」

僕に、もみじの家のことをこっそり教えてくれた福祉関係者も、そのあたりの微妙な心境を理解してくれていました。だからこそ、転職につながる重大な情報を伝えてくれたのだと思います。

僕が職場に対してネガティブな発言を一切せずにいたとすれば、「今の仕事を気に入っているようだから、まさか退職までは考えていないだろう」と判断され、もみじの家の情報は他の人に振られていたかもしれません。