「華やかな」アナウンサー時代にはなかった贅沢な経験

〈ニュースレター〉
ニュースレターというお便りも年2回、制作します。僕一人で全体構成、執筆、寄稿依頼、レイアウト、業者への発注を担い、登録者家族と、寄付やボランティア活動などで支援してくださった皆さんに、収支決算や寄付金の活用実績の報告を兼ねて発送しています。 

『53歳の新人 NHKアナウンサーだった僕の転職』(著:内多勝康/新潮社)

内容は、新しいドクター着任のニュースや、夏祭りなどイベントのレポート、医療的ケア児や家族の思いを伝える手記など盛りだくさんで、単なる活動報告ではなく、読み物としても楽しみにしていただける誌面作りを心掛けています。

このあたりは、前の仕事の体質が色濃く残っていることを自覚します。どうせ書くなら面白く伝えたい。常に新しいネタを仕入れながら、凝って、こだわって書いています。 

ある時、日本を代表する実力派シンガーのMISIAさんが取材者として直接もみじの家に足を運んでくださったことがあり、ニュースレターでも1面トップで取り上げました。MISIAさんは、アーティスト活動と並行して、一般財団法人「mudef(ミューデフ)」の理事を務めながら、国内の子どものサポートや、アフリカの子どもの教育支援といった社会貢献活動にも熱心に取り組んでいます。 

もみじの家の訪問は、「日本の難病の子どもたちの未来に目を向けたい」というMISIAさんの強い希望で実現しました。NHK時代は僕が著名人にインタビューする立場でしたが、まさか僕がMISIAさんにインタビューされる日がくるなんて、夢にも思っていませんでした。 

さらに、もみじの家設立に大きく貢献してくださった喜谷昌代さんと親交が深かった美智子さま(当時・皇后陛下)がいらっしゃった時は、これはこれは大イベントとなりました。 

宮内庁担当のテレビ・新聞各社が取材にかけつけ、全国に向けて「ご訪問」の記事を発信しました。1時間を超えるご滞在でしたが、お母さんたちにねぎらいの言葉をかけてくださったり、子どもたちと触れ合う場面があったりと、美智子さまの温かいまなざしと力強いエールをいただいた貴重な時間でした。このニュースは、2周年記念号のトップを飾ることになりました。

「華やかな」という形容詞の付くアナウンサー時代でもありえなかった、夢のような贅沢な経験がニュースレターを彩っています。