行きつけの美容院ですすめられてグレイヘアに(撮影:清水朝子)

シニアモデルの需要を感じる

なんてうらやましい! プロの手でメイクを施され、一流のスタイリストが選んだ衣装を着てライトを浴びて立つ。一生に一度は経験したいことではないか。私もグレイヘアにしてみようかしら。

「メイクをしてもらって、初めてカメラの前に立った日のことは忘れられません。まるでテレビドラマの撮影シーンみたい。皆さん、口々に『わぁ、きれいですねー』とおだててくれて、『いやだわ、わざとらしい!!』と思っていましたね」

同年代の人が素敵に着こなしていると、その洋服を買いたくなるものだ。CMや雑誌でも、シニアのモデルは需要があるのかもしれない。船橋さんはそのニーズにピタリとはまったのだ。

継続してモデルをする気があるなら事務所に登録したほうがいいと石田さんにすすめられ、さまざまな年齢のモデルがいる今の事務所に所属することになった。ちょうどその頃、義母との同居が始まって、家にずっといるより気分転換に外に出たほうがいいと思ったことも、船橋さんの背中を押した。

家族の反応は? と聞くと、「夫は何も言いません(笑)。40代の娘は『ママ、楽しそう。私もやりたい!』と言って、同じ事務所に所属することになったんですよ」と笑う。

モデルの収入はお小遣い程度。とはいえ、得られるものは多い。

「スタジオでCM撮影をした時、大勢の若いスタッフの方々が夜遅くまで一所懸命働いているのを目の当たりにして。主婦として生きてきた私が知らない世界で新鮮でした。撮影当日の緊張もまた刺激になっていいんですよ。だからできればずっと続けていきたい。何をするにも元気なうちですから」

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今後、「シニア枠」はますます増えていくことだろう。どんな特典が出てくるのか、シニアの一員として楽しみに待ちたい。今や人生100年時代、まだまだ残り時間は長いのだから。