初対面なのに親近感

新宿のビルの14階に、朱色のセーターを着た女性が現れた。
すぐにそれが柚木さんだとわかった。

「こんにちは! ごめんねお待たせして。柚木ですー!」

初めてお会いしたのになんだか親近感がわく。
見た目から動きから、全てが童話から出てきたみたい。
絵本で言うと『わかったさん/こまったさん』シリーズのタッチ。
あ、でもジブリっぽさもある。ジブリに出てくる、口を大きく開けて豪快に笑い、主人公をなにかと励ましてくれる系のあの感じ...!

音声で聞いても情報量が多く、迫力がすごかったが、実物の柚木さんはもっとすごかった。
気を抜くと、何の脈絡もなく寸劇が始まる。いや、ミュージカル…?
コロナ禍前によくひらかれていたという文壇の人々が集まるホームパーティーの話では、想像の50倍は濃密な、キャラの濃すぎる作家たちとのエピソードが聞けた。

お食事中の柚木さん

その中にはよくテレビで見かける人や芥川賞を受賞した人もいるのだけれど、お堅いイメージとは裏腹にかなり陽気なひとが多いらしく、奇想天外な言動の数々に、柚木さんの話だけで本が一冊かけそうな面白さである。