「最後のつもりで臨んだ舞台『キネマの天地』の上演中に、まだやりきっていない、やめてはいけないと強く感じました」(撮影:浅井佳代子)

お芝居以外のことを学んでみたくなって

実は2021年で、女優のお仕事はやめるつもりでした。15歳から約50年間、ありがたいことに毎日忙しく過ごしてきましたが、コロナ禍で「自分が本当に好きなものって何なのだろう」と考える機会が増えて。お芝居以外のことも学んでみたくなったのです。

ところが21年6月、最後のつもりで臨んだ舞台『キネマの天地』の上演中に、まだやりきっていない、やめてはいけないと強く感じました。ミュージカル『HOPE』のオファーをいただいたのは、その3日後です。これは「やりなさい」というお告げだな、と。

私、ミュージカルの出演経験はあっても歌ったことはなかったんです。今思えば、60代半ばにして初めて人前で歌うだなんて、無謀ですよね(笑)。

でも、いざ飛び込んでみたらすごく楽しかった。歌の練習は今も続けていますし、夜、窓に自分の姿を映して踊ることもあります。踊っているだけで上機嫌になれるの。今度はヒップホップでも習おうかしら。(笑)