【写真】将棋で戦後最年長のプロ入りを決め、笑顔であいさつする今泉健司さん。東京・渋谷区の将棋会館で。2014年12月8日撮影(写真提供:読売新聞社)

いったんゲームをやめて介護職に就いた梅原大吾

また、海外でも著名な格闘ゲームプレイヤーで、対戦型格闘ゲームで数々の大会を制している梅原大吾は、かつて他者を圧倒する実績を出し続けていたにもかかわらず、「そろそろ潮時かなって」と感じて2004年にいったんゲームをやめた。

そして麻雀の世界に飛び込む。2年ほどして麻雀で勝てるようになってきたが、自分に合わないと感じてやめてしまう。

その後、両親が医療関係の仕事をしていたこともあって、介護職の正社員として働き始める。

彼はインタビューの中で「はじめての会社員はいかがでしたか」と聞かれると、「感謝されてお金をもらえるなんてことが世の中にあるんだ、と初めて分かった。(中略)こんなに社会って優しいんだ、なんてありがたいんだろうと痛感しました」と語っている(転職サイト「エン転職」の2019年12月20日付記事「梅原大吾の履歴書」)。

それ以前は、食うか食われるかの世界しか知らなかったという。介護の仕事とゲーマーとの二足のわらじを履いたのちに、プロゲーマーとして再び大活躍することになる(『勝ち続ける意志力』)。

プロ棋士、プロゲーマーと言えば、自分の力しか頼れない職業の代表だろう。そうした世界の2人が、一度その仕事から離れている。そして同じ介護職の仕事に携わったのちに再び元の本業に復帰しているのが興味深い。