穏やかな性格を取り戻すために
自律神経のバランスが乱れると、感情のコントロールが難しくなります。
人によっては、怒りっぽくなったり落ち込みやすくなったりします。閉経を迎える時期は、体調だけでなく「性格」にも変化が現れます。
筆者の経験では、更年期症状で受診される患者さんの約半数は、「近頃、感情のコントロールがきかなくなっている」と訴えられます。
そのうち、怒りっぽくなった人、落ち込みやすくなった人の割合は半々です。診察室で怒りをぶつける人、涙を流す人も少なくありません。
更年期に情緒不安定になる理由には、もう一つ、セロトニン分泌量の低下があります。セロトニンは、幸せを感じる、気持ちを安定させる、表情を豊かにするなどの働きをもつホルモンです。
これは脳と腸から分泌されますが、どちらにもエストロゲンレセプターがあるため、エストロゲンの分泌量が低下するとセロトニンの生成も低下するのです。
イライラしたり感情が不安定になったりするのは、「体調が悪いから」という場合もよくあります。穏やかな性格を取り戻すには、体調面の改善も必要といえます。
※本稿は、『閉経マネジメント』(講談社)の一部を再編集したものです。
『40代から始めよう! 閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』(著:吉形玲美/講談社)
40歳以降の女性は、女性ホルモンの変化によって、さまざまな心身の不調に悩まされます。そして「閉経」は、それまで長い間、全身を駆けめぐって体を守ってくれていた女性ホルモンの働きが休止する、女性にとっての一大事といえるでしょう。本書で紹介する「閉経マネジメント」は、更年期前後の女性に忍びよる「更年期症状」と、骨折にもつながる「骨粗しょう症」の不安を解消するための「自分の体をマネジメントする方法」です。そこで40代以降の女性のライフステージを「プレ更年期」「更年期」「ポスト更年期」の3つに分け、それぞれのライフステージで、【女性ホルモンのコントロール】や【骨強度マネジメント】のために何をすればいいかをわかりやすく解説しました。もっと知りたい人のためのQ&Aや、患者さんの体験記もたっぷり盛り込んだ、いつまでも健康な女性でいるための方法がギュッとつまった1冊です。