穏やかな性格を取り戻すために

自律神経のバランスが乱れると、感情のコントロールが難しくなります。

人によっては、怒りっぽくなったり落ち込みやすくなったりします。閉経を迎える時期は、体調だけでなく「性格」にも変化が現れます。

筆者の経験では、更年期症状で受診される患者さんの約半数は、「近頃、感情のコントロールがきかなくなっている」と訴えられます。

そのうち、怒りっぽくなった人、落ち込みやすくなった人の割合は半々です。診察室で怒りをぶつける人、涙を流す人も少なくありません。

更年期に情緒不安定になる理由には、もう一つ、セロトニン分泌量の低下があります。セロトニンは、幸せを感じる、気持ちを安定させる、表情を豊かにするなどの働きをもつホルモンです。

これは脳と腸から分泌されますが、どちらにもエストロゲンレセプターがあるため、エストロゲンの分泌量が低下するとセロトニンの生成も低下するのです。

イライラしたり感情が不安定になったりするのは、「体調が悪いから」という場合もよくあります。穏やかな性格を取り戻すには、体調面の改善も必要といえます。

※本稿は、『閉経マネジメント』(講談社)の一部を再編集したものです。


40代から始めよう! 閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』(著:吉形玲美/講談社)

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