『ルパン三世』が設定のヒントに
この作品を企画したのは天樹征丸こと樹林伸だった。「マガジン」編集部に在籍していた当初は、別に若手の原作者(金成陽三郎)を立てていたが、やがてみずから原作も書くようになった。
「本格ミステリーのマンガというのは入社した頃(87年)から温めていた企画です。ミステリーは小説も売れるし、テレビで視聴率も取れる。なぜマンガでないんだろう、とずっと思っていたんですよ」
ミステリーをマンガにする場合、派手でファンタジー色が強い本格ものは、青年誌よりも少年誌に向いているだろう。主人公の金田一一(きんだいちはじめ)は名探偵・金田一耕助の孫。
樹林によると、この設定は『ルパン三世』(モンキー・パンチ)がヒントになったという。
「ルパン三世みたいに誰か(架空の)名探偵の孫にしようと。日本人なら誰だろうと考えて、明智小五郎と金田一耕助が浮かんだんですね。本格ミステリーっぽい雰囲気では、明智よりも金田一かな、と思った。
横溝正史さんの奥さんに挨拶に行って許可も取りました。今になって思えば、明智小五郎の孫でもヒットした気はしますが」