“マンガの地位”を上げる

担当のひとりだった栗田編集長には、こんな思い出がある。

『「週刊少年マガジン」はどのようにマンガの歴史を築き上げてきたのか? 1959ー2009』 (著：伊藤和弘／星海社新書)
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「樹林さんは時代の空気をつかむのがうまかったし、“マンガの地位”を上げることを考えていました。

90年代はマンガ雑誌がすごく売れていたけど、今ほど社会に認められておらず、『マンガなんか読んでたらバカになる』みたいな風潮もまだ残っていた時代です。

『金田一少年の事件簿』で犯人の動機が“腎臓移植”だったことがあるんですよ。僕は『少年読者に難しすぎるのでは』と反対したんですけど、樹林さんは『もっと社会的なテーマも取り上げていかないとマンガの地位は上がらない』と押し切って。

掲載されるとすごい反響で、アンケートではぶっちぎりの１位でした」