《足し算》から《引き算》生活へシフト

芸能人でも、今はなかなかいらっしゃらないのですが、美代子さんは、バラエティ番組への出演時の服が自前なのです。ドラマや映画に出演するときでも、自前のときがあるというから驚きです。前述の『エリカ38』は、ワイドショーでもおおいに話題になった《つなぎ融資の女王》が題材になっていましたから、彼女が身に着けそうなハイブランドのバッグや靴、ドレスなどは、美代子さんの自宅クローゼットから現場に「持って行った」と聞きました。

どこから見てもパーフェクトなオシャレ人間で、言うなれば《足し算》コーディネートがお得意の美代子さんが、「モノを買わない、持たない」《引き算》生活にシフトしようとしているきっかけは、樹木希林さんという大きな存在があるからに他なりません。

『ひとりじめ』(著:浅田美代子/ 文藝春秋)

希林さんのファッションで私がもっとも憶えているのは、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の「ビストロSMAP」に出演されたときの衣装。メンズライクでビッグサイズの服だったのですが…、はて、誰がデザインした、どこのブランドだろう……と、すごく気になりました。美代子さんがお召しの服のように「あ、●●●だ」「このデザインは▽▽」などと一目でわかるブランド物でないことだけは確かでした。

なんと、その日の希林さんの服は、曰く、「本木さんからの《お下がり》を直した」とのこと。そう、娘さんの内田也哉子さんの御主人、本木雅弘さんの服を御自分で《お直し》して出演されたのです。

ヘアメイクについても、ずいぶん前からシンプルなボブスタイルで、前髪をピンで留めていらした希林さん。化粧っけもほとんどありません。