御家族の一員として送った美代子さん

「私が出ると映画の格が上がる」と、美代子さんのために出演もしてくれた希林さん。2018年9月15日、希林さんが旅立たれたとき、ワイドショーが「遺作」に挙げたのも、『エリカ38』でした。

希林さんの御自宅から旅立つ際にも、御家族の一員として玄関先で共に見送っていたのは美代子さん。「本当に《家族》だったんだね」とワイドショーのスタッフが驚いていたのを思い出します。

美代子さんが熱心に行っている動物愛護活動にも希林さんは理解を示していらしたと聞きます。『エリカ38』には、主人公が《説明会》の場で、多くの参加者を騙すシーンが出てくるのですが、希林さんからは、「あんた(=美代子さん)は、動物愛護の集会では、別人のようにしっかりした話し方になるんだから、そのつもりでやりなさい」との指導があったそうです。

『エリカ38』の出演から美代子さんは、『いのちスケッチ』『朝が来る』『日本独立』、そして9月23日には、香取慎吾くん主演の『犬も食わねどチャーリーは笑う』と、ほぼ毎年、話題の映画に出演。特に『朝が来る』では「第30回日本映画批評家大賞』で助演女優賞を受賞し、女優として初の栄冠に輝きました。このときも、授賞式で「縁をくださった樹木希林さんの着物を着てきました」と涙ぐんだ美代子さん。『朝が来る』の河瀬直美監督が、希林さん主演で、美代子さんも出演していた『あん』の監督でもあり、美代子さんを抜擢。希林さんが繋いでくださった《縁》での出演だったからです。

映画『エリカ38』のポスター(写真提供◎山田さん)

テレビドラマでも、あの秋元康さん企画のホラー、『赤いナースコール』(テレビ東京系)で、謎多き《21歳》のナースを好演中。何歳になっても「美代ちゃん」と呼びたくなる愛らしさをもち合わせていたハズの美代子さんは、いつの間にか、凄みのある女優さんになられました。