転職活動で大変だったころ、知人が連れて行ってくれた逗子の夕日
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第19回は「ドリームクラッシャーについて」です。

一握りに仕事が集中、その他大勢は食いっぱぐれる

「お金を払って読みたい人がいるとは思えません」

2、3年ほど前だろうか。
書籍の企画を初めて出版社に提案したとき、こんな返事をもらった。
それから月日が経ち、別の出版社からやっと本を出せることになった。
今となっては、この出来事も懐かしく思える。

ど新人がコラムやエッセイを寄稿したり、本を出すのには色んなハードルがある。
肩書も実績もない新人を起用するのはリスクが大きい。
固定のファンがいて、実績がある有名どころは確実性があり、依頼が殺到する。
もちろん、有名な人は長い年月をかけ質の高いものを世に送り出し続け、信頼を積み重ねてその地位についているのだが。

一握りに仕事が集中して、その他大勢は食いっぱぐれる。
これは例えば芸能界や、クリエイティブ業界など、きっと多くの業界にもあてはまることだと思う。

今ハマっているドラマ『ユニコーンに乗って』でもこんなシーンがある。
ヒロインとともにスタートアップ企業を立ち上げた須崎功(杉野遥亮)の父は大手不動産会社の社長。その会社で個人情報が流出する事件がおき、父が謝罪会見を開くことに。

父の会社を刷新するため、功はあるスタートアップ企業が開発した最先端のセキュリティーシステムの導入を提案するのだが、父親は「何の実績もない会社が作った技術を信用するわけがない」と取り合おうともしない。

功は「新しい技術に実績も何もないだろう」と応戦するも、
父は「うちが重要視するのは確実性だ」と言い放つのだ。
このシーン、色んな場面で「めっちゃみたことあるやつ‼」である。
実績ばかり見られるのに、「その実績を作る機会」を与えられないのだ。

功の「新しい技術に実績も何もないだろう」という言葉には、「それな‼」を百回押したいくらい。
実績や肩書よりも、ポテンシャルを見て仕事をくれる人と出会えなければ、本当に新人は厳しい。

さて、そんな中で無名新人がどうやって仕事をもらえるのか。
答えがない手探りの旅が始まった。