髷を結うのが間に合わない

9月に入り、私は夏バテと秋落ちが混じった状態で、「これまで一所懸命やってきたが、老後は暗い」と鬱々と思いながらセミの声と虫の声を聞く日々だった。

その状態で十両の相撲からテレビを見始めた。

なぜなら、新十両の14枚目・菅野改め栃武蔵(中央大学出身)とカザフスタン出身では初めての関取である12枚目・金峰山(日本大学出身)の相撲が見たかったからだ。二人とも初日は力強く勝った。

金峰山は、入門から5場所目で十両となり、髷を結うのが間に合わない。

カザフスタンというと6.5オクターブ以上発声できる超イケメン歌手のディマシュ・クダイベルゲンがいる。歌唱力が素晴らしく、玉置浩二の「行かないで」を日本語で歌っていて、切ない想いが胸に響いてくる。YouTubeで聞いて、うっとりしている友人のバアサンもいる。彼の繊細なイメージを思い浮かべながら、テレビで金峰山を初めて見た時は、巨体から迫力と破壊力を感じ、カザフスタンの人材の豊富さを思い知った。そもそもカザフスタンを知らなかったので、無知を恥じてネットで国ごと調べた。

なんと暴れん坊横綱だった朝青龍が見つけて、金峰山に力士になることを薦めたそうだ。すごい人を日本の大相撲に投入したものだ。

浜町公園近くをうろついていたら若隆景や若元春が所属する荒汐部屋があった。荒汐親方(元幕内・蒼国来)の断髪式を知らせるポスターが貼ってあった(写真提供◎しろぼしさん 以下同)