リハビリの先生が厳しいのなんの

転院したリハビリ病院の屋上から、飛び降りて死んじゃおうかと思ったこともありました。だけど片麻痺では柵も跨げない。

それによく見ると下は芝生と花壇で、落ちたところで全身骨折くらいだろうな。死ねないなら一度死んだ気になってリハビリしてみるか。そんなふうに、徐々に気持ちに折り合いをつけていくしかありませんでした。

ところがまあ、リハビリの先生が厳しいのなんの(笑)。訓練用の重りを、麻痺している腕だけで持てって言うんです。「こんなに重いものを? 落としたらどうするの」って聞いたら、「自分で拾え」って。

片麻痺の人は拾おうとすると倒れちゃうのにすごいこと言うなあ、と思ったけど、できることが増えると先生を見返したくなってくるんですね。リハビリ時間が終わっても歩行練習を繰り返しました。

職業柄、困ったのは病院の食事です。塩分が少なくて、味がしない。いつも2口くらいで食事を終えていたらみるみる痩せて、半年で25キロも体重が落ちてしまいました。看護師さんから「食べないと生きていけませんよ」と呼び出されては、怒られて。

優しさゆえの厳しさもあるから、看護師さんとはずいぶん格闘しましたが、接する時間は医師より圧倒的に長いじゃないですか。だから、努めて仲良くするようにもしました(笑)。そうして2年近く経ってから自宅に帰ったんです。