もうこれ以上、幸運なことはない

この思いが「もう芸人はやらない」という二つ目の思いにも重なってくるんですけど、もうね、今回の人生でこれでもかとありがたい思いをさせてもらいました。もうこれ以上、幸運なことはないでしょうし、また次にそれを望むなんておこがましすぎる。自分の中に、非常に強くその思いがあるんです。

これはビートたけしさんが言ってたんですけど、人間は運の総量が一緒だと。光がいっぱい当たっている人は、その分、影ができる。良い思いをした人はその分、しんどいことがどこかである。

だからね、本当に変な話になっていくのかもしれませんけど、娘とかにも話したりしてるんです。ある日、下町のアパートから死後かなり時間が経ったお年寄りの遺体が発見される。持ち物から調べると、どうもかつて大平サブローの名前で世に出ていた人のようだ。そんな連絡が警察から家族のところに来る。言葉がアレですけど、どこかで“野垂れ死に”してしっくりくる。それでトントン。そんな思いも事実、ずーっとあるんです。

それくらい、本当にありがたい時間をすごさせてもらいました。だからこそ、何かしら世の中にお返しをせなアカンと思います。好感度を上げるとかそんなんやなく、ある意味、これは自分のエゴなのかもしれません。芸人としてこれだけ恵まれた時間を過ごしたんやから、何もしないわけにはいかない。そこが正直な思いでもあります。

若い頃はこんなこと思わなかったんですけど、これが歳を重ねるということなんですかね。考えることがさすがに変わってきました。