その夜、夫はすごい剣幕で帰宅した。「一緒に仕事をしていれば、男と女だからそうなるのは当たり前。騒ぐお前のほうがおかしい。離婚してハルミと結婚する。オレの顔をつぶしやがって。お前を破滅させてやる」。

あまりの言いように耐えかねて、私は家を出た。夫は家財道具一式を処分し、家をリフォームしてハルミとの新生活の準備を始めたらしい。

もうすぐハルミに対する慰謝料請求の裁判が始まる。夫は離婚調停では浮気を認めたのに、この裁判では認めない。それ以上に私が許せないのは、夫よりもひどいハルミの態度だ。

私はハワイやシンガポール旅行のことを尋ねたが、よくもまあ、こんな嘘がつけるなと思うくらい、白々しい作りごとを薄笑いをうかべながら並べたてた。人を騙すことにみじんも罪悪感を覚えないのだろう。ただし、夫同様、尻も軽けりゃ頭も口も軽く、墓穴を掘っているのをまったくわかっていない。

こんなことがなければ、60歳で正社員からパートになって、神社の掃除を毎日続けながら、気楽な気持ちで働こうと思っていたのだが。夫の女ぐせが度を越していたばかりに、人生を見直さなければならなくなった。


※婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。

現在募集中のテーマはこちら

アンケート・投稿欄へ