正直に《数字》で相談した母

ある日、母が意を決して「食費だけでもいただけませんか?」と申し出た時、祖母は「年寄り2人分くらいたいしたことなかろう」とはぐらかそうとしましたが、かつて陸軍の経理部だった祖父は「月にいくらかかっとるんや?」と聞いてきました。

母が「家族6人で9万円です」と明確な数字で即答すると、祖父は2人分の食費として毎月3万円を封筒に入れて渡してくれるようになったそうです。

『井田家の40年 暮らしとお金のありのまま』(著:井田典子/婦人之友社)

母は祖父の対応にいたく感激して、それ以降は家の改築費用や税金のことも正直に数字で相談できるようになったと喜んでいました。「これからは封建的なReading mindでは通用せんよ」と自らを奮い立たせながら、徐々に祖父母と心の通い合う関係を築いていったのでした。