独自のスタイルと世界観を持ったトップさん

そんな香りの記憶を一番思い出すトップスター、
前回から引き続き、5人目のトップスターは、紫吹淳さんです。

高級ブランドの香りがよく似合う、それはそれはスタイリッシュな方でした。
舞台に出る前は、靴の裏にも香水を付けられていたのを思い出します。
銀橋を通る時に、お客様にその香りを届けるためです。

紫吹さんは、独自のスタイルを築き上げられた方でもありました。
お洒落で斬新な服装やメイク、
舞台上でも衣装の形が大きく変わったのが、この頃です。
今までは肩パットで大きく見せていた上半身をスタイリッシュに変え、ズボンも細身に。
素晴らしいプロポーションの持ち主ゆえの着方で、誰もが羨むスタイルでした。
私も真似したかったのですが……持って生まれたものが違いすぎました。

ずっとバレエをされていたので、ダンスがとても綺麗で、足のさばき方が美しく、
真似したいところがたくさんありました。
あんな風に踊りたいと、お稽古場でずっと見惚れていました。

ある時、こんなことがありました。
何の公演の時だったのか、舞台上でむせてしまって台詞が言えなくなって
どうにもならなくなった時、
紫吹さんが咄嗟の判断で芝居を変え、舞台袖に追いやってくれました。
敵役だったので、追いやるということが成立したのですが、
その咄嗟の判断の素早さとかっこよさに、むせながら感動したことがありました。

スタイリッシュで素晴らしいダンサーで、
独自のスタイルと世界観を持った、とにかくかっこいいスターさんでした。