最後に驚愕する真実が待ち受けている力強い作品

―――大門剛明さんによる警察小説『両刃の斧』(中公文庫)を原作に制作された同タイトルのWOWOWドラマ(全6話・第1話無料放送)では、柴田恭兵さんとのダブル主演が話題を呼んでいる。―――

人生の道しるべとなる人とは簡単に出会えるわけではないのですが、『両刃の斧』という作品が、また一人、憧れの人を増やしてくれました。初共演させていただいた柴田恭兵さんです。役に向き合う姿勢や表現力はもちろんのこと、ユーモアを交えた会話で場を和ませようとする恭兵さんの人柄とか、上品な物の考え方など、人として生きるうえで大切なことをたくさん学ばせていただきました。

WOWOWドラマ『両刃の斧』劇中シーン。柴崎(左・柴田さん)と川澄(井浦さん)〈写真提供◎WOWOW 以下同〉

お話をいただいた時はビックリしました。こんなチャンスを逃す手はないと一も二もなくオファーを受けましたが、その後に原作を読んで顔面蒼白に。これは俳優が大変な目に遇うぞと。最初は小説にのめり込んでいたんです。謎が謎を呼び、状況が二転三転して、最後の最後に「そうだったのか!」と驚愕する真実が待ち受けているという力強い作品で、凄い凄いって。でもそれだけに人間模様が複雑で、僕が演じる川澄の心情も大きく揺れ動く。正直、こんな難しい役をこなせるだろうか? と、不安になったりして。役者としての資質が問われる大きな挑戦になるなと察して尻込みしつつ、その一方で、「やりがいのある挑戦だから、かくなる上は全力で演じよう」と心に火がついたのを覚えています。

「役者としての資質が問われる大きな挑戦になるなと察した」と語る井浦さん(撮影:本社・奥西義和)