支障はないが何かが足りないオンラインイベント

人間関係を築く、ということが、とても難しくなったと感じる。一緒に仕事をしているのに、相手のことを何も知らない。顔も年代もどんな仕事をしてきて、どんなことに興味があるのか。どんな性格なのか。仕事で重視することは何か。何が好きで何が嫌いなのか。
街で会っても100%分からないだろう。相手の顔が見えない仕事は、私はちょっと息苦しい。何を言うにも、相手の様子を伺い、どんな人かを見極めてボールを投げるが、その相手が見えないからだ。

イベントも、ラジオ出演も、すべてオンラインだ。
オンラインイベントではお客さんの顔や反応がわからないから、壁に向かって話しているような感覚で、若干こころもとない。

「え、これちゃんと伝わってるのかな……」

「これであってる?」

もちろん、他の登壇者や司会者の顔は画面で見える。
でも、その方々にも一度もお会いしたことがない。
それで何か支障があるかと言われるとそうでもない。

ただ、何か。何かが足りない気がしてしまう。
壁一枚隔てて会話しているような、相手との間に膜が張っているような。
もどかしさやさみしさ、もの悲しさのようなものが、やはり拭いきれないのだ。

(写真提供◎写真AC)