勝敗や自らの身の安全を度外視するのが「兵の道」
鎌倉武士には、守らねばならない「兵の道」(つわものの道、と読みます)がありました。文章として書き表されてはいないけれども、みんなが共有する「武士の価値観」ですかね。
「卑怯な振る舞いはNGである」「将軍の馬前で討ち死にすることこそ、武士の誉れである」とか、そういう感じ。これがより洗練されたものが「武士道」です。
勝敗や自らの身の安全を度外視して、一族のために、妻の実家のために働くこと。これも兵の道の理念の一つでした。
一族に従わずに、妻の実家を見捨てて、勝ち馬に乗る。それはいわば裏切り行為として捉えられ、それをした武士は「兵の道」に背いたと白眼視されることになるのです。
そうした背景を踏まえて、さあ、平六義村、どう出るか。
いとこの義盛とともに北条義時と戦うか。それとも一族に背を向けるか。彼の出処進退に注目が集まります。