都市伝説2「産んで社会貢献」

結婚するメリットって何だろう? 

と今や結婚を否定的に考えている女性も決して少なくはありません。自分が仕事をしていれば、夫に養ってもらわないと生活できないわけでもないし、相手によるけれど多くの家庭では家事はまだまだ女性の役割。その上子育ても自分にどっしりのしかかる…なんて考えたら、独身を選びたくなる気持ちもわかる。

住宅メーカーの関連会社にお勤めの友美さん(38歳 仮名)もまさにそんな女性のひとりです。

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独身子なしで気づけばアラフォー。今は特定の彼もいませんし、結婚願望もないので、子どもを産まない人生なのかなと思っています。最近は40代で初産、という話も聞くけれど、ある年齢からは不妊治療する人が多いですよね。

20代のころにも30代前半にも、結婚のチャンスはありました。でもそのころは仕事がおもしろかったし、まだ子どもを産むつもりもないのに結婚するメリットがわからなくて。妊娠したら結婚してもいいかもな、くらいに思っていたんですよ。そうしてなんとなく時間が過ぎてくうちに、今に至る、と。

うちの会社は大手メーカーの住宅を販売する子会社なんですけれど、本社から来ることになっている経営陣以外の生え抜きの管理職には女性も結構いて、みんなそれなりに出世しています。お子さんがいる人は、時間の使い方を工夫しているというか…寝ているのかな?

朝4時とか夜中の1時とか、自宅からなんでしょうけれど、メールが届きます。仕事の間に家事をして、家事の間にも仕事をして、というのが当たり前になっているようで、頭が下がりますよね。

経営陣には入らないだろうけれど、歳も歳だし、そろそろ昇進するかもしれません。ロ※ビー活動はしていませんが(笑)、やりたいことをやるためには出世したほうがいいですし、自分の成長にもつながりそうだし、喜んで受けると思います。偉くなりたい、というよりは、仕事の可能性を広げたい。

それに、私、子どもがいないから、社会貢献って仕事でしかできないんですよ。世の中にも両親にも申し訳ないなぁってずっともやもやしているんです。社会とのつながりを持つっていう意味でも、仕事を頑張らなくちゃって思っています。

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ときどき、政治家の方が「女性は子どもを産むべきだ」的な発言をして大炎上していますが、きっとその発言は「彼らにとってはそれが普通だからポロッと出てきた」だけの氷山の一角で、一般的にあちらこちらに潜んでいる感覚なんでしょう。

友美さん以外にも、子どもを産んでいないから社会的責任を果たしていないのではないか、私は女として何か欠落しているのではないか、という女性に何人にも会いました。いったい誰に刷り込まれたのかわからないけれど、そんなことを思わせる世の中に怒りを感じます。