宝塚退団後、大学進学を志す
タカラジェンヌたちは、「宝塚からの卒業」を「神のお告げ」が降ってきてたときに決める、と言われることがある。なんとなく自分のタイミングを感じるということなのかもしれない。
入団5年目は色々転機がやってきました。私を一番応援してくれていた祖母が亡くなったんです。それをきっかけに、自分が誰かのためにできることをもう一度探してみたいと思うようになった。そして、入団7年目の最後の新人公演の区切りの時に、ああ今だなって「神のお告げ」がきたんです(笑)。考えてみたら、私は「音楽学校に合格」して、あの舞台に立ったことで夢をかなえてしまっていた。その後苦労もありましたが、自分なりにタカラジェンヌとして精一杯やりきったという納得感もありました。
でもね。やめてからしばらくは、なぜか変な夢をたくさん見たんです。「『ちょっと人が足りないから舞台出てよ』と劇団のプロデューサーさんから連絡をもらう夢」とか、「舞台に出遅れしていて焦っている夢」とか…。(笑)
宝塚退団後、アメリカ留学を志したくれさん。留学先の大学を決め、TOFELの成績もクリアし、入学手続きなど準備を着実に進めていた。
私は初舞台の時からご一緒だった湖月わたるさんに憧れていて、お稽古熱心なわたるさんの背中に学びながら、お稽古や学びに励むことが大好きでした。だから、退団したら自分が社会で何をできるかわからない、とにかく勉強をしてみよう!思ったのは自然なことでした。そして、大学進学を志し、どうせなら海外に留学して世界を見たいと思いました。
それで英語を必死に勉強して、自分ではけっこうしゃべれるようになったかな、と思っていましたが、アメリカ現地で大学の入学事務の先生と話してみたところ、まったくついていけなかった。これは留学してもちゃんと勉強が身に付くところまでいかないんじゃないかと感じたんです。それで急遽、日本の大学を目指すことにしました。たまたま早稲田大学の社会人入試がまだ願書を受け付けていて、入試科目が「英語」「面接」「小論文」だったので、これはいけるかなと…。試験本番も、小論文のタイトルが「仮面」だったので書けそうな気がしました。(笑)