カタールと日本の架け橋となる

「ちょっと前までは『日本なんて遠すぎる』というお客様が多かったのですが、だんだんと日本のすばらしさが口コミで広がって、今やカタール人の間でトレンドになっています。カタールには日本の旅行社がないので、旅の情報はインターネットで調べるしかないのですが、わからないことがあると皆さん私のところにいらっしゃる。築地がどういうところだとか、旅の荷物はこうやって送るといいだとか、いろいろアドバイスをしております(笑)」

実はこのワールドカップを機に、引退も考えていたという順子さん。しかしここへきて、その心境に変化があったという。

「今回のワールドカップでカタール人が日本代表を一生懸命応援する姿を見て、胸が熱くなりました。実は、カタールは今でこそ豊かな国ですが、天然ガスの産出国になる前はそうではなかった。天然ガスが眠っているとわかった時、開発の手助けをしたのは日本政府と日本の電力会社でした。その歴史を知るカタールの人々は、日本に対して非常に恩義を感じている。忘れかけられていた両国の絆が、ワールドカップを機に蘇ったような気がしております。これから両国が関係を築いていく中で、少しでもお役に立てたらと、そんな気持ちが芽生えてきました。

これまでは日本の食文化を伝えてきましたが、観光に訪れたいというカタール人が増えていることですし、もっと広く日本の魅力を伝えていけたら嬉しいですね。この挑戦がファイナルステージと思っていましたが、まだまだ自己との闘いは続きそうです」

日本へ旅したい人のいろんな相談に乗っている順子さん

今日も厨房から「ありがとう、センキュー、グラッツェ」と、様々な国の言葉で客に感謝を伝える順子さん。これからもその笑顔がカタールと日本の架け橋となるだろう。

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JUNKO Sushi &Japanese Dininng

カタール・ドーハで一番のセレブリティーゾーン 「ザ・パール 」 に位置し、様々なクルーザーが停泊するヨットハーバーを眺めながらドーハで唯一の伝統的な和食を堪能できる、カタール初の日本食レストラン。2012年のオープン時には、『Time Out』紙の「RESTAURANT AWARDS 2012 DOHA BEST NEWCOMER Award」を受賞