私のおふくろの味はミートソース

中でもとりわけ私が楽しみにしていたメニューがある。それが、ミートソースパスタ。

『ヒツジメシ』(著:吉田羊/講談社)

母が作るソレは、余計なものが一切入らないシンプルな味付け。ざくざくと刻んだ玉ねぎをバターで炒め、色が変わったところで挽き肉を投入。塩・コショウで下味を付けたら、なんと和風出汁で旨みを出す。

そこへトマト缶とケチャップを入れて「ミートソース感」を演出。おそらく小さい頃に食べていたソレには、香り付けのローリエなどというこじゃれたものは入っておらず、味の奥行きは専ら、煮込む時間頼みだったような気がする。

そんな幼少の思い出の所為か、私のおふくろの味はと言えば、肉じゃがでもお味噌汁でもないミートソース。

これまたそこに起因しているのか、大人になってもミートソースが大好きで、パスタのあるお店に入るとミートソースやボロネーゼの文字をいつも探してしまう。そして、目の前に置かれたその一瞬で、幼き日の「特別な時間」が蘇るのだ。