金春湯でのハプニング

短時間で終わらせようと、意を決してサウナ室に飛び込む。まずはレーザーを当てた先から測定器までの距離をデジタルで表示してくれるレーザー測定器で、サウナ室の端から端を測り、耐水性のメモ帳に書き込む。

思いもかけない水しぶきや、濡れたタイルにメモを置いて滲んでしまったことが多々あったので、銭湯取材は必ず耐水性のメモ帳を使用しているのだ。

大きい部分を測ったら次はサウナのベンチの奥行きを測る。インテリアコーディネーターの母から譲り受けた赤いメジャーをベンチにあてて数値を確認、その数字をメモ帳に書き込もうとした時、手が止まった。

さっき書き込んだメモが消えている。え、なんで!?!?慌ててページをめくってみると、サウナ室のメモどころか金春湯にきてからのメモが丸々なくなっている。ハァ?

パニック状態になりつつ手に握るペンを見た時にハッと気づいた。

浴室、待合室と、測量をメモしていたはずが丸々消えた!?(提供:『湯あがりみたいに、ホッとして』)

いつも取材で使っているペンは耐水性なのに、今日に限ってフリクションペンでメモしていたのだ。フリクションペンは、銭湯図解の下描きで使っている。

何色かのペンを使い分けることで下描きの線が重なっても何を示しているかが分かるし、擦ればすぐ消えるし線もキレイなので、図解のような細かい絵の下描きをする時にとても便利なのだ。