「専門用語もあまり知らないし、お料理はたいてい自己流」と話すのは、テレビや雑誌を通じて数々のアイデア料理を発信している料理愛好家の平野レミさんだ。著書『エプロン手帖』では、子ども時代の味覚の記憶から、両親や夫・和田誠さんとの料理にまつわるおいしい思い出まで、食材への敬意とともに綴っています。そんなレミさん、ごぼうをささがきしていると、料理の仕事をするきっかけとなった恩人・八木正生さんを思い出すそうで――。
きんぴらごぼうをほめてくれた人
ごぼうをささがきしていると、私はいつも八木正生(やぎまさお)さんを思い出す。
八木さんは一流のジャズピアニストで、作曲家、編曲家。お洒落で、飲むこと食べることが大好きな人だった。
フランス料理が好きで、自分でも作った。
だから本当は八木さんを連想するのはワインとフォアグラなんだけど、どうしてごぼうかというと、私が作ったきんぴらをほめてくれた人だからです。