反不倫規範の国際比較

日本の反不倫規範がここ20年ほど変化していないことがわかったが、こうした日本の反不倫規範は厳しいのか、緩いのか、他国と比較してみよう。

2018年に行われたISSPの調査には、日本を含む27カ国が参加していた。ここで各国の傾向を数値で比較するために、「絶対に間違っている」を4、「全く間違っていない」を1というように回答選択肢を数値化し、各国の平均値を求めた。

結果を図2-2に示した。最も不倫に対して厳格な国はタイであり、反不倫規範の平均値は3・80となっている。仮に国中の人全員が不倫を「絶対に間違っている」と回答すると平均値は4となるため、非常に強い反対があるといえるだろう。

【図】反不倫規範の国際比較 『不倫―実証分析が示す全貌 』(五十嵐彰〈著〉 迫田さやか〈著〉/中央公論新社)より

全体的な傾向として、何らかの宗教を信仰している人が多い国ほど数値が高いといえそうである。国民の90%以上がキリスト教徒のフィリピン、70%がキリスト教徒のアメリカなどが上位にきているのは頷ける*2