もちろん、人との縁もあると思います。私がここまで来られたのも、たくさんの人たちとの出会いがあり、助言をいただいたからです。でも私は、「置かれた場所で咲きなさい」という名言のように、自分がその環境をどう捉えるかのほうが大事だと思っています。

この言葉の意味は、「置かれた環境に不平不満を持ち、他人の出方しだいで幸せになったり不幸になったりするのは、環境の奴隷でしかない。人間として生まれたからには、どんなところに置かれても、その環境で主人公となり、自分の花を咲かせることのほうが大事」ということだと理解しています。本当にその通りだと思いますし、私は他人の言動に左右されることはあまりありません。

たとえば、明らかに私にはマイナスだと感じる人と出会ったとしても、その人を反面教師にすることができるから、結局自分にはプラスになると考えてきました。

東京五輪直後、大学を卒業したら違う道を目指すことを公言していたので、「もったいない」とか「パリ五輪まで続けてほしい」という声も届きましたけど、引退することにためらいはまったくなかったですね。金メダルの勲章をセカンドキャリアに活かすという考えもなかった。

注目されるのは五輪直後だけですし、何よりあのオリンピックの緊張感に再び耐えられるとは思いません。それよりは大好きなカエルに注目を集められるような人を目指したいです。