歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。
3月号の書は「君子の交わりは淡きこと水の如し」です

「腹六分目」のおつきあいを心がける

人間関係で上手なつきあい方は、「腹八分目」──ではなく、「腹六分目」。相手に踏み込みすぎると、イヤな面も見えてきますし、他人からずかずか入り込まれると、鬱陶しいと感じることもあるはず。どんなに親しくても、愛していても、相手の負担にならないように心がける。それが、いい関係を長く続ける秘訣です。

中国の古典『荘子』に、「君子の交わりは淡きこと水のごとく、小人(しょうじん)の交わりは甘きこと醴(れい)〈甘酒のこと〉のごとし」とあります。立派な人物の人とのつきあい方は水のように淡泊で、たいしたことのない人のつきあいは甘くベタベタしている、という意味です。

これは他人同士だけではなく、恋人や家族であっても同じ。お互い「個」としての境界を侵さないことが、いい関係を続けるコツです。親しき仲にも礼儀あり。馴れあいは争いのもとです。そのために役立つのが、以前もお話ししましたが、美しい言葉遣いと微笑みです。

また、人の悪口を言わないだけではなく、誰かが陰口や噂話を始めたら、さりげなく席を外すなどして耳に入れないことも大事です。その場にいただけで、あなたが「誰々さんの悪口を言った」などと喧伝されないとも限りませんから。

「腹六分目」を心がけ、一定の距離を保って相手の人格を立てると、結果的には自分が楽になります。人生の知恵だと心得て、ぜひ実践なさってください。

●今月の書「君子の交わりは淡きこと水の如し」