ふたりの絆があればと割り切って
幸子 結婚したのは2022年の6月。出会って半年で結婚するなんて、本当に人生って何が起こるかわからないものですね。
吟 でも具体的に結婚となると、考えなくちゃいけないこともあったね。お墓のこととか財産のこととか……。僕は架空恋愛中から息子たちに君の話をしたり、君の歌を聞かせたりしていたけど、オヤジが舞い上がっちゃってるよって呆れられてた。正式につきあい始めたと伝えたら、結婚を反対されて。頭にきて、絶対に結婚するぞと思ったよ。
幸子 そうだったんですか?
吟 もちろんそれだけじゃないよ。ズルズルしていたら、結婚のタイミングを逃したり、下手すると別れることになるんじゃないかと思ったから、婚姻届を出すのを急いだんだ。
幸子 そうだったのね。ただ……。吟さんは私の子どもたちにはよくしてくれるけど、私は吟さんの息子さんたちに会う機会がなくて。これでいいの?
吟 そのうちわかってくれるでしょう。若い頃の再婚と違って、一緒に子育てするわけじゃない。子どもたちはもうみんな自立してるんだから、それぞれの人生を歩めばいいんだよ。僕はふたりの絆さえあれば、ほかのことはどうでもいいと割り切っているんだ。今だって僕は息子たちから頼られたら力になるよ。でも息子たちの世話にはならないと決めているんだ。
幸子 そのためにも、元気でいなくちゃいけませんね。
吟 そう、健康が要だよ。
幸子 どっちが先に倒れるかわかりませんけれど。
吟 結婚してから同じ病院で定期検診するようにしたのは、お互いの健康状態を把握しておきたいと思ったからなんだよ。
幸子 内科に眼科に歯医者……。かかりつけを全部紹介してくれて、一緒に通っています。体の心配が増えてくる年齢だけど、こうして安心を増やすこともできるんだな、と思いました。
吟 とにかく僕は元気なうちに一緒に旅行したり、美味しいものを食べたりしたいねぇ。新婚旅行は箱根に行って、今年に入ってからも天草や石垣島へ行ったけど、本当に楽しくて。自分はこういう時間が欲しかったんだとつくづく思ったよ。
幸子 私もとても幸せです。この年になって他人と一緒に暮らし始めると、慣れないこともいろいろあるけれど、それもまた新鮮で。
吟 まだ結婚生活は始まったばかりだから、正解かどうかわからない。でも正解だったといえるように、お互いに経験値を活かしながら、いたわりあって暮らしていきたいと思ってる。よろしくね。
幸子 こちらこそ、よろしくお願いします。