長く鹿児島の離島で暮らしていた高齢の祖父母が福岡へ。しかし祖母は入院後に亡くなり、祖父はひとり暮らしを始め――(写真:著者)
NHKの朝ドラ『舞いあがれ!』では五島に住んでいた”ばんば”こと祥子(高畑淳子さん)が倒れたことをきっかけに、東大阪へ移り住むことになりました。島を離れたくないばんばと、移ってほしい家族とで「覚悟」が問われるシーンもありましたが、歳を重ねたのちに過ごす場所が本人の望む所か、周りの家族が望む所とするかは、一家にとって大きな問題なのかもしれません。フォトグラファーである高重さんのご家族も、その問題にぶつかります。鹿児島の離島で暮らしていた高齢の祖父母を説得し、福岡へ移り住んでもらうことになりましたが、移った翌朝祖母は入院。そのまま亡くなることに。祖父はひとり暮らしを始めますが――。

祖母が亡くなって

鹿児島の離島から福岡に移った翌日、入院することになった祖母。そして祖母は、そのまま鹿児島に戻ることなく、十か月後に息を引き取った。

あの頃、祖母が亡くなり、父はひと回り縮んだのかと思うほど、元気がなくなっていた。

私は父について、本土での顔しか知らなかった。父は中学卒業後、島外の高校に進学した。その後、島では生活していない。

島で過ごした時間はそう長くないからか、島の人に特有の雰囲気をまとっていない。