五箇条を絵に描いたような人間だった祖母

祖父母が暮らした家はがらんとしていたが、部屋には、生活の跡がまだ微かに残っていた。

「幸福になるための五箇条」。トイレの壁に、そう書かれた紙が貼られていた。

親切にする、明るく朗らかにする、謙虚にする、素直になる、感謝をする。

確かに祖母は、この五箇条を絵に描いたような人間だった。

トイレの壁に貼られていた「幸福になるための五箇条」(写真:著者)

そんな祖母は最期、幸せだったのだろうか。そして祖父は、福岡に移り住んだ今、幸せを感じながら日々を送っているのだろうか。