ボイストレーニングの成果は!?

ひと通りトレーニングが終わったところで、再び吉永さんに「月がとっても青いから」を歌ってもらった。するとスタッフから、「えっ、すごい!」というどよめきの声が。明らかに声量がアップして、音域も広くなっている。声も太くなり、裏声を指摘された高音域もほぼ地声で歌えていた。吉永さんも「これこれ、昔の感覚が戻ってきたよ~!」とノリノリだ。

そして、肝心の話し声は……。「あれ、レッスン前よりもしゃべりやすい! 声が口の中でこもらず、外へ届いている感じ。自信があったはずの滑舌もよりはっきりしたね。1つずつ3分ほどのレッスンでこんなに変わるとはうれしいね」と、吉永さんは手ごたえ十分、爽快な表情に。

最後に、吉永さんにトレーニングを終えての感想を聞いた。

「鍛えれば年齢に関係なく声の調子がよくなることを体験して驚きました。いつもマスクをしていて知らない間にここまで声が衰えちゃう。人間って階段を落ちるようにガクンと老いるんだなと思い知らされました」

上野さんは言う。「ピアニストも練習せずにいたら指が動かなくなります。放置していた声も鍛えれば変わります。1日数分でできるボイス・トレーニングをぜひ習慣にしてください」。

身近にある割箸やペットボトルを使う方法を伝授してもらったので、いつでも手軽にできるだろう。割箸のにおいやささくれが気になる人のために上野さんが開発したボイトレ・グッズ「Be-Vo(ビーボ)」もある。口に入れても安全なEVA製で、繰り返し使えるのが便利だ。

今回のダイジェスト版のレッスンで、声の若返りを実感した吉永さん。取材後も自宅でトレーニングをしてもらい、1週間後に変化を聞いてみると─。

「ボイストレーニング・グッズも活用して習慣化させようと、毎朝、日課の体操をする前に声の体操として組み込んでみました。5日ほど続けた時点で感じたのは、声がふらつかなくなったこと。自分では意識していなかったけれど、これまでのどの一部だけを使って声を出していたのだと実感。続けると、顔やのどの筋トレ効果も期待できそうです」

電話越しの吉永さんの声は、以前よりさらに明るく力強く響いてきた。これは声の衰えに悩んでいる人に試してほしいトレーニングだ。


取材協力◎上野ヴォーカルアカデミー(東京・日暮里)
話す声のコースのひとつ「声の若返り・老け声改善コース」では声の若返りに特化したトレーニングを実施。詳しくはHP参照
※実際のトレーニングの名称や手順は誌面と異なる場合があります