水平方向に拡がる宿

コメリアンス村の復興プロジェクトに、20代から参加した建築家のカルロ・トソンに会うことができた。

現在はヴェネチアに設計事務所を構えながら、故郷の村に通っている。専門は狭小住宅だという。

「カルニア地方は、アルプス最後の秘境と呼ばれてきた。でも裏を返せば、ここには興味深い民俗学的な風習も、珍しい食文化もたくさん残っているんだ」

カルロによれば、村が、雪深い地域の特徴だという、とんがり屋根に白壁の大きな民家ばかりになったのは、アルプスの薬草を商って潤った17世紀頃で、この地方の森から切り出された木材は、かつてヴェネチア帝国の反映を支えたのだという。