ハ長調は何色?

N)ところで朋菜さんが演奏しているバッハのアルバムは、いわゆるチャクラの調整に着目していますね。あれはやはり調を基軸にしているのですか?

M)そうです。調(調性)です。私は調によって色もイメージします。人間の身体を整える、つまり身体を調律するためには色彩も大切だと思うのです。演奏している音を色でイメージすることで身体を整えやすくなる様に思います。

N)なるほど!因みにハ長調は暖色系ですか?

M)はい。寒色系ではないですね。あくまでも自分の中のイメージなのですが、半音変わると違う感じの色になりますね。

(写真:@BANAZO)

N)面白いですね。話を戻しますが、よくバロック音楽は癒し効果が高いと言われていますが、その理由として「1/f揺らぎ」が多いからという説があります。それはどう思います。

M)絶対あると思います。逆に無いとおかしいですね。

N)「1/f揺らぎ」に関してはモーツアルトの音楽などでも言われていることだと思うのですが、「1/f揺らぎ」に関してバロックの特徴的な「こういうのがバロックです!」っていうものは何かあるんですか?

M)その「1/f揺らぎ」ということに関してでしたら装飾音が関係していると思います。バロック装飾音がすごく自由だったんですよね。バロック時代も後半になってくると、音符をある程度決めて楽譜に書いてそれを演奏するのですが、ともかくバロックはすごく装飾音の自由度が高い。

楽譜には校訂版というのがあるのですが、これは専門家によって書き換えられた楽譜のことで、元の楽譜(原典版)にその人の解釈を入れて、より演奏がしやすいように強弱記号などを書き入れているものです。校訂者によって解釈もそれぞれなので、校訂版の楽譜同士でも少し内容が異なります。元々、バロックの本来の楽譜である原典版は何にも書いてないのですが、いろいろな人が自分なりの解釈で装飾音符などを書き加えますが、それを一つ変えるだけで「間」が全く変わってくるのです。それがバロック特有の揺らぎを作っているのかもしれません。

演奏の「間」を変えると本当に違う曲に聞こえるのですが、それは揺らぎが大きく変わるからだと思います。だから、演奏家の解釈で曲は変化するのです。
それとバロック音楽は、その質の高さが癒し効果を高めているように思います。結局は周波数とか波動というものを音楽という整った形で私たちは聞いているのですが、実はその質がすごい大切で、質の高い組み立てがしっかりされている音・音楽を浴びて初めて癒しの効果を実感できるのではないかと思うのです。

N)その「組み立て」とは、いわゆる楽曲がいいとか、演奏がいいということですか?

M)はい。演奏もそうですね。あと、質の良い音、音色とか。

N)音楽としてのクオリティの高さですね。

M)はい、それは本当に大切なことだと思います。