ピアニストの宮崎朋菜さんに伺うバロック音楽

今回は、このバロック音楽について、いろいろな面白いエピソードをピアニストの宮崎朋菜さん伺いました。

実は朋菜さんのバッハのアルバムのリリースをお手伝いさせて頂いたこともあって、その頃から仲良くさせて頂いている素晴らしいピアニストです。

ピアニストの宮崎朋菜さん(写真:@BANAZO)

中脇:N)バロック音楽って、既本的には貴族のための音楽ですよね。

宮崎:M)はい、そうですね。

N)貴族が「音楽で癒されたい!」と思っていたのでしょうか。

M)そうですね、いろいろあるとは思うのですけど、私の中で印象的なエピソードいくつかあって、まず、スペイン国王フェリペ5世は自分の寝る前に必ず毎晩毎晩、お決まりの4曲をお抱えの去勢された男声歌手”カストラート”(※1)に歌わせたと。

N)その曲はバロック音楽なのですか?

M)はい、そうです。イタリア人の曲です。

N)王様にとっては子守唄だった訳ですね。 

M)そうですね。そしてもう一つ、有名なお話があります。そのフェリペ5世の息子にあたるフェルナンド6世(※2)がポルトガル王の娘、バルバラと結婚するのですが、いわゆるこれは政略結婚で、結婚当初、フェルナンド王はバルバラのことがあまり好きではなかったと言われています。でもバルバラはとっても素敵な女性で音楽の才能もあって、その音楽を通じて二人は仲良くなり深く愛し合う様になります。しかし、その王妃バルバラが病気で亡くなってしまった。

残されたフェルナンド王は憔悴してしまってお城に籠もって、お風呂にも入らない、着替えもしない、もう廃人みたいになってしまったそうです。ただ唯一、フェルナンド王を生かしていたものが当時のバロック音楽だったのです。フェルナンド王はお抱えの音楽家にバロック音楽を演奏させる事で悲しみを癒したと言われています。