人に打ち明けられない不調や悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第27回は、「バセドウ病」です。
(取材・文/松井宏夫 医学ジャーナリスト)
この記事の目次
〈症状〉典型的な症状はなく、人によってまちまち
〈原因〉甲状腺を敵とみなし攻撃してしまう 〈治療〉3つの治療法で寛解を目指す 〈予防〉生活リズムを崩さず食べすぎにも注意を

〈症状〉典型的な症状はなく、人によってまちまち

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「自己免疫疾患」です。甲状腺ホルモンは《元気の源》なので、分泌量が不足すると元気が出なくなります。しかし過剰になるのも問題で、エネルギーが《空焚き》されているような状態になり、さまざまな症状を引き起こすのです。

たとえば、甲状腺ホルモンの分泌をつかさどる甲状腺は喉仏の下にあるため、首が全体的に腫れて、太く見える。そして、「ひどく暑がり」になり、じっとしていても「疲れを感じる」。「動悸がする」「目が飛び出てくる」などの症状も出ます。また、食欲がありしっかり食べているのに「体重が減少」してしまうことも。

その一方で、高齢の患者さんは「食欲そのものが低下」したり、「うつ状態」になったりします。ただ、「これぞバセドウ病」という症状が存在しないのも大きな特徴といえるでしょう。

 

バセドウ病患者の主な症状と、その人数