101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

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『あまり大きな望みを持たず目の前のことを全力で』

30代の半ば頃、知人の結婚式に招かれた際、新郎の恩師である児童文学者の坪田譲治先生が祝辞で「望みは小さく持ったほうがいい」とおっしゃいました。

お祝いの席では普通、「大きな望みを持って羽ばたけ」と言いそうなものですが、逆のことをおっしゃったのです。

大きな望みを持つと、もしかしたら途中で挫折し、敗北感に打ちのめされるかもしれません。しかし、自分の足で確実に登ることができる山なら、頂上に辿りついたときの達成感も得られるし、この経験をもとに次はもう少し高い山にチャレンジしてみようと、新たな計画を立てられます。

そうとらえた私は、それからはやみくもに大きな望みを抱かず、身の丈に合った目標を立て、一つひとつ丁寧に取り組むようにしました。

 

おかげで小さな幸せに気づけるようになり、日々を楽しく生きられるようになりました。(写真提供:photo AC)

 

おかげで小さな幸せに気づけるようになり、日々を楽しく生きられるようになりました。目の前の小さな目標に真摯に取り組めばいい。その連続が生きることなのでしょう。

私が100歳でも仕事をしていられるのは、坪田先生の言葉と出会ったおかげかもしれません。

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