101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活 のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「 簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがい っぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社) から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。
<100歳の100の知恵 69>
『あまり大きな望みを持たず目の前のことを全力で』
30代の半ば頃、知人の結婚式に招かれた際、新郎の恩師である児童文学者の坪田譲治先生が祝辞で「望みは小さく持ったほうがいい」とおっしゃいました。
お祝いの席では普通、「大きな望みを持って羽ばたけ」と言いそうなものですが、逆のことをおっしゃったのです。
大きな望みを持つと、もしかしたら途中で挫折し、敗北感に打ちのめされるかもしれません。しかし、自分の足で確実に登ることができる山なら、頂上に辿りついたときの達成感も得られるし、この経験をもとに次はもう少し高い山にチャレンジしてみようと、新たな計画を立てられます。
そうとらえた私は、それからはやみくもに大きな望みを抱かず、身の丈に合った目標を立て、一つひとつ丁寧に取り組むようにしました。
おかげで小さな幸せに気づけるようになり、日々を楽しく生きられるようになりました。目の前の小さな目標に真摯に取り組めばいい。その連続が生きることなのでしょう。
私が100歳でも仕事をしていられるのは、坪田先生の言葉と出会ったおかげかもしれません。