石崎先生「ひらがなは丸みがあるので呼吸の調整を意識して書く必要が生じます」と言いますが――(写真提供:Photo AC)
アフターコロナのなか、閉塞感や経済的不安などのストレスから自律神経が乱れ、さまざまな身体の不調に悩んでいる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。「文字を書くという行為は瞑想に通じていて、自律神経を整える効果があるのです」と語るのは、筆跡カウンセラーの石崎白龍先生。今回は、石崎先生と自律神経の名医・順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生の対談をお届けします。その石崎先生「ひらがなは丸みがあるので呼吸の調整を意識して書く必要が生じます」と言いますが――。

自律神経の乱れは避けられない

石崎(※「崎」は正しくは「たつさき」) 
自律神経を整えるというのは大切なことなのですね。

小林 自律神経というのは、脳と心臓や内臓といった臓器をつないでいる神経のことで、体中を巡る血流をコントロールする役目を担っています。無意識のうちに働いてくれているわけですが、私たちが生きていけるのは、自律神経が24時間、365日休むことなく働いてくれているからなのです。

石崎 自律神経が乱れるというのは?

小林 自律神経は交感神経と副交感神経から構成されているのですが、車にたとえれば、交感神経はアクセルで副交感神経はブレーキ。交感神経は運動時などの興奮したときに活発になるのに対して、副交感神経は体がリラックスしているときに強く働きます。

健康な人の自律神経は、昼間は交感神経が優位に働き、夜は副交感神経が優位に働くといった具合に、両者がうまくバランスをとっていますが、このバランスが崩れると自律神経失調症になってしまうのです。

石崎 小林先生の書かれた本に注目が集まるというのは、それだけ自律神経失調症で悩んでおられる方が多いということだと思うのですが。

小林 自律神経が乱れていない人はほとんどいないでしょう。

石崎 えっ!

小林 自律神経というのは、少しのことで簡単に乱れてしまうのですよ。ですから、乱れないようにするというのは無駄な抵抗。大切なのは、乱れたときにどう整えるかということなのです。