絵画部門入選『また逢う日まで』 寺﨑ひなた(てらさき・ひなた)さん
がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。

今でも鮮明に思い出せる母との通話

母方の祖母にがんが見つかったのは一昨年のことでした。

祖母は、がんだと発覚する半年前から度々調子を崩していました。元々身体が強い方では無かったため、最初は母も「病院へ行った方がいいんじゃない?」と声をかけていたのですが、自分の弱った所を見せたくない祖母は病院へ行きませんでした。しかし、体調は徐々に悪化し、母も「お願いだから病院へ行って欲しい、私もついて行くから。」と声をかけるようになりました。

そしてようやく検査したところ、がんであることが告げられました。

私はそのことを検査の翌日、母からの電話で伝えられました。「やっぱりがんだった。しかもかなり進んでる。もしかしたら先が長くないかもしれない。」泣きながら話す母の声に、私は嫌というほどその事実を実感させられました。今でも鮮明に思い出せる程、この日の母との通話は記憶に残っています。

がんが発覚してから1カ月の間は、「仕事を休んでもらうようになった」「今こんな治療をしている」という連絡が母からきていたのですが、その後少しづずつ連絡はこなくなりました。