がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。
いつ死んでもいいやと思っていた
49歳、会社員、独り暮らし。高齢の母を田舎に残して先に死ぬ訳には行かないと考えていたものの、自分は別段思い残す事もなく、いつ死んでもいいやと日々何気なく思っていた。そう、がんが見つかるまでは…。
がん告知から手術までは、3ヶ月だった。今まで明鏡止水だった私の心は一転して、轟音を響かせるジェットコースターのようにアップダウン、ツイスト、スパイラルを繰り返した。医師の説明を聞いてもなお、インターネットで情報を漁り、自分はきっと違うはずだと否認した。時間が経つにつれ、今度は最悪なシナリオを考えるようになり、泣き崩れ、絶望を味わった。手術を受ける事の恐怖と対峙しつつ、凡そ1ヶ月を経て、精神のレジリエンスを迎える事が出来た。治療を受け入れる祈りに似た前向きな心境になれたのだ。