夜空に向かって手を合わせて感謝した
ところがよく考えてみたら我が息子、こういう晴れ舞台が大好物の、「ココ一番」勝負にめっぽう燃える男だった!幼稚園サッカーの時も、ほぼ絶望と言われた小学校受験の時も、中1でカルリプケン世界大会に出た時も…。
結果はどうあれ、逆境を楽しむタイプ。「わー、やべぇ。」を力に変えるタイプ。
んん。ものはいいようだ。コケたとき何も言わずにスッと下がるが、当たった時のうおーー!な場面が本当に大好きな男である。明らかに父親似だ。
「もときしょーた、ララララーララ♪」
後輩たちと保護者の応援にも力をもらって、翔大は驚くほどダイヤモンドを駆け抜けていた。
クラブさばきもシュンシュン軽やか、実に楽しげ。
そうだね、色々苦しかったけど、
野球ってこんなに楽しかったかね。
きっと本人もそう思いながら野球をしていたに違いない。
結果終わってみればチームは圧勝、翔大も5打数4安打の大あたり。
(…前にもっと早く打っとかんか!!)
喜び中の息子を遠目に、母はボソッと口に出してしまった。
日中暑かった日の夜空は、暗くなってもカラッと空気が澄んで見えた。なぜかそんな夜空に向かって手を合わせて感謝したのは、亡くなった2人の父たちへ。
3年間翔大を守ってくださってありがとうございました。
本当にそんな気持ちになった夜だった。
そして私がいつも野球の最後に泣かない理由が、なんとなくわかった。
私が野球をやってたわけじゃない。暑い日も寒い日もずっと野球をやってきた
本人にしか、泣く理由はない。
私はいつだって、彼らの次の野球が楽しみだ。まだ彼らの野球に終わりがないのなら。
だから、まだ泣かない。
あ、言い忘れてたけど…
翔大、ここまでお疲れ様!
大学でも野球がんばんだよー。