由紀さん「35歳になるまで肉体関係を持たないと決めていました」(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
作家で僧侶の家田荘子さんは、不倫、少女売春、風俗、高齢者の性など光の当たっていない世界を取材してきた。そのようななか出会ったのは30歳を過ぎて性経験がない女性、大人処女。彼女たちは、なぜそれを選択したのか。今回は、由紀さん(仮名)の価値観と生き方を記したノンフィクションを3回に渡ってお届けします。由紀さんが「35歳になるまで肉体関係を持たない」と決めた理由とは――。

「35歳になるまで肉体関係を持たない」と決めた理由

由紀(ゆき)さんは、「35歳になるまで男性と絶対に肉体関係を持たない」と、異性に目覚めた15歳の頃から決めていた。由紀さんが10歳、小学校4年生の時に病気で亡くなった母親が原因だった。

「親戚から、私には姉がいたけど流産したとか、だから無理して母が私を産んだんだとかをたびたび聞かされるようになりました。私を産んだことが、病気の悪化の原因だった!? 言われた瞬間、すごく不安になりました。母みたいに死にたくない。子供を残したまま死にたくない。そうしたら子供を産むのが怖くなって、母の年齢(享年34)を超えるまでは、無事に生きていたいと思ったんです」

それで、由紀さんは「母の年齢を超えるまでは生きていたい」と決心をした。

そういう由紀さんにも、実は驚愕の秘密の時間があった。それは月に1、2回SMクラブへ行き、M女になるという別の一面だった。見かけと経歴から想像さえつかなかった由紀さんの告白に、私は内心、本当に驚いていた。由紀さんがいきなりSMクラブに行って縛られるようになったのは、22歳の時だった。