右派の人は左派、左派の人は右派の文献を読んでみる

では、前頭葉の萎縮に対して、どう老い支度をするとよいのでしょうか。

ここも、足し算健康術で考えましょう。一度萎縮してしまった脳を、再び大きくすることはできませんが、前頭葉がつかさどっている思考力を高めていくことは、何歳になってもできます。

そこで一つ、今日から実践できる方法をお伝えしましょう。

「そうかもしれない」という思考パターンを自分に足すことです。

「そうかもしれない思考」とは、誰かがいった言葉、本や新聞、雑誌などに書いてあった文章を鵜呑(うの)みにせず、「そうかもしれないが、別の見方もあるよね」と、積極的に別の考え方を探していくことです。

前頭葉が老化すると、物事の「決めつけ」が激しくなります。自分が「こうだ」と思い込むと、周りが「そうとも限らないんじゃない?」と異論を唱えても聞き入れられなくなる状態です。

こうして思考がこり固まり、頑固になっていくのです。そこで、たとえば、保守的な政治志向の読者が多いとされる産経新聞を読んでいる人は、反対意見の論調を持つ朝日新聞を読んでみてください。

「そうかもしれない思考」を行うことで、「その意見も一理あるな」「やはり、ここは違うんじゃないか」など、思考の幅が格段に広がるとともに、前頭葉にも刺激を与えられるのです。

ほかにも、時代劇のドラマが好きな人は恋愛のドラマを見てみるなど、普段は接しないジャンルに挑戦するのも有効です。このようにしていれば、たとえ前頭葉が萎縮しても、柔軟性があって前向きな考え方ができるようになるでしょう。

※本稿は、『65歳から始める 和田式 心の若がえり』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。


65歳から始める 和田式 心の若がえり』(著:和田秀樹/幻冬舎)

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「我慢しない人ほど老けこまない。病気にならないのです」