井上先生「高齢者は若い世代に比べて生活時間帯が早寝早起きになりやすい」(写真提供:Photo AC)
なかなか寝つけない…、途中で何度も目が覚める、といった睡眠不足が原因で疲れがとれず悩んでいる方もいらっしゃることでしょう。「睡眠不足によって重大な病気を招くことがあるだけでなく、ぐっすり眠れない背景には危険な病気が潜んでいることもある」と語るのは、睡眠総合ケアクリニック代々木理事長の井上雄一先生。井上先生いわく「高齢者は若い世代に比べて生活時間帯が早寝早起きになりやすい」そうで――。

Q:朝4時に目が覚めてしまい、その後、眠れません

A:自分が起きようと思っている時間よりも2時間以上早く目が覚めて、そのあと眠れないというときは「早朝覚醒」が疑われます。早朝覚醒は高齢者に多いタイプの不眠です。

その原因は加齢にともなって生理的に眠りが浅くなっていることや、高齢者は若い世代に比べて生活時間帯が早寝早起きになりやすいことが影響しています。これは体内時計のリズムが前倒しになることと関係しています。

つまり夜の8時、9時に眠くなって寝床に入ってしまうと、早朝4時、5時に目が覚めることになるのです。明け方までゲームなどで遊んで夜更かしをして昼過ぎにならないと起きられない若者がいますが、これとは逆のタイプです。

また、高齢者は働く世代と違って日中に昼寝をする人も多く、これも体内時計を乱してしまうため、夜の眠りが浅くなったり、早朝に目が覚めてしまう原因になります。

高齢者の場合、早朝に目が覚めても「歳だからそんなものだろう」と、ごく自然な生理現象だと受けとめて特に気にしない人がいる一方で、「不眠症かもしれない」と不安に思い、苦痛を感じる人もいます。

一般に、老化につれて睡眠時間は短くなり、70歳代になると6時間以下になるのは自然なことです。したがって、トータルの睡眠時間が6時間程度保たれ、体調や日常の活動に異変がなければ早朝に目が覚めてもあまり深刻にとらえる必要はありません。

しかし、眠気やだるさで日中の活動がままならないとか、体調が悪いというときはかかりつけ医に相談しましょう。

また、早朝に目が覚めてしまう原因として痛みやかゆみなど何らかの不快な症状があることもあります。この場合も早めに医師の診察を受けることが大切です。

早朝に目が覚めてしまうことで休養した感じが得られないとか、自分はもう少し眠っていたいという人は、夜、寝床に入る時間を少し遅らせてみましょう。

夜8時、9時に寝るのが習慣になっている人は、1〜2時間就寝時間を遅くすることで体内時計のリズムを後ろ側にずらしていくようにします。そうやって少しずつ体内時計のリズムを整え、自分が起きようと思っている時間に合わせていくとよいでしょう。