命は自分一人だけのものではない

B型肝炎を発症してからは、もちろんつらいことがたくさんありましたが、いつしか「それを経験したことは私の栄養になっていたんだな」と考えられるようになりました。今では「この経験は、自分の人生に無くてはならないものだったのだろう。きっとそういう時期だったんだ」と思っています。

自分が病気になった時に、案じてくれている家族がいる。自分を大事にするということは、家族を大事にすることでもある。命は自分一人だけのものではないのだ、ということにも気づけました。具合が悪いからといって投げやりになるのは一番良くないこと。自分が逆の立場になったら、ものすごい心労があるはずですしね。そして自分が優しくしてもらったぶん、人にも優しくしてあげたい――。そんなふうに思えるようになったのは、間違いなく病気を経験したからです。

「『この経験は、自分の人生に無くてはならないものだったのだろう。きっとそういう時期だったんだ』と思っています」(提供:テイチクエンタテインメント)

 

療養を終えた数年後には、「私が体験をお話しすることで、少しでもB型肝炎に対する誤解や偏見がなくなれば」と、闘病について記した本を出版。それがきっかけになり、講演会などもさせていただきました。

「子どもたちに病気がうつるといけないから、一緒のプールに入らないで!」と言われたこともありましたが、B型肝炎は一緒に泳いでもうつることはありません。私の闘病について書かれた記事で、初めてB型肝炎という病名を知ったという声もありました。病気のおかげで、私も本当にたくさんのことを学ばせてもらっています。