どこでやるかは非常に大切

何かを始めるとき、どこでやるかは非常に大切なポイントだと思います。

「この程度でいいのか」と思ってしまうような場所では、成長できません。ボクシングでいえば、プロが多くいるジムに入ったほうが学べることが多い。実際、私は世界チャンピオンがいるジムを選びました。

もちろん、どこまでそれを“もの”にしたいかにもよりますが、技術にしても根性にしても、一度身に付いてしまったものは、なかなか直せない最初に見たレベルが、その人の基準になりますから、慎重に決めました。

「吉兆以外は認めないが、行ってみるか?」と聞くと、「行く! 明日から行く」と即答。私は京都吉兆 嵐山本店のご主人に連絡をとり、送り出したのです。

コネを使うのは、親にとってはもちろん、本人にとっても楽なことではありません。三男には「私とご主人の関係を崩すことだけはするなよ」ときつく言い渡しました。

「途中で音を上げて辞めたり逃げ出したりしたら、君だけの問題じゃない。私とご主人の関係が悪くなる。きっちり修業して、一人前になるまでは家に帰ってくるな。途中で帰ってきたら親子の縁を切るからな。その覚悟はあるか?」

「ある」と答えた息子はその後も逃げることなく修業を終え、おかげさまで今では自分の店「赤坂おぎ乃」を開いております。

※本稿は、『老いては「好き」にしたがえ!』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。


老いては「好き」にしたがえ! 』(著:片岡鶴太郎/幻冬舎)

人生を充実させるコツは、心の赴くままに行動すること――。モノマネでブレイクして以降、役者をベースに、ボクシング、絵画、ヨガの世界でも活躍する著者。還暦を機に離婚した現在は、「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない」と終活には目もくれず、自分のしたいことだけに情熱を注ぐ。常に挑戦をしてきた経験から、「何かを始めるのに年齢やセンスは関係ない」と断言。やりたいことの具体的な見つけ方から、自身も苦しんだ「男の更年期」の乗り越え方まで、老いに負けない極意がここに!