雑念に寄り添いなさい
呼吸に集中している最中に雑念が湧いても、無理に打ち消そうとする必要はありません。以前、お坊さんに「雑念が出たらどうしたらいいでしょうか」と聞いたことがあります。答えは「雑念に寄り添いなさい」でした。この答えは、脳科学の観点からも理に適(かな)っています。雑念を気にすればするほど、前頭前野の働きがそちらに向いてしまうからです。
雑念を雑念と思わず、ひたすら一定のリズムで呼吸することで雑念が遠のき、再び呼吸に集中できるようになるのです。
この「ゆっくり吐く呼吸」を実際にやってみるとわかりますが、最初のうちは5分程度でも疲れるものです。疲れたら無理せずにやめましょう。
30分以上続ける必要はありません。なぜなら、それ以上やってもセロトニンが増えることはないからです。
一回の時間を延ばすことよりも、毎日20分続けることのほうが大事。3か月続けると、セロトニン神経の構造が変わってきます。
脳の働きが活性化し、多少のストレスには動じない心身がもたらされるでしょう。
※本稿は、『5人の名医が実践する「ほどほど」健康術』(小学館)の一部を再編集したものです。
『5人の名医が実践する「ほどほど」健康術』(著:サライ編集室/小学館)
医療の逼迫や健康意識の高まりによって、多忙を極める名医たち。自身の体調はもちろん、高い業務パフォーマンスを発揮するために、どんな「健康術」を実践しているのか。
共通するのは、時間もお金もかけず、無理なく負担なく「ほどほど」にできる方法を、長きにわたる「習慣」として、コツコツ実践していること。年齢や体力にかかわらず、多忙であっても「ムリ・ムダ・ムラ」なく続くストレスフリーな習慣を、図説を交え、わかりやすく実践的に紹介!